あとがきより
仏婦創立150年を、最勝講の発足を起点に計算したのは、このたびがはじめてであろう。本文中に述べたように、浄土真宗における女性門徒の組織は、すでに初期教団にみられ、また中期教団以後は、女人講・尼講などと称して、各地に多く結成されている。しかし、全国的な規模でもって統一的に女性門徒の組織化を図ったのは、最勝講が最初の結社である。明治維新後の婦人教会・真宗婦人会は、必ずしも最勝講を全面的・直線的に継承したとはいえない。しかし、いずれも女性門徒の統括的組織化を企図したいという点に同一性を認め、あえて最勝講の発足に、その創立の起点を求めたのであった。
いうまでもないことであるが、最勝講も、また婦人教会も、宗祖親鸞聖人の説く念仏によって結ばれた、同朋のつどいであった。ただ最勝講が近世封建体制のワクの中で、また婦人教会や真宗婦人会が近代帝国主義のもとに、宗祖の同朋思想を十分に発揮できなかったことは見逃し得ない。
このことは、現今の仏婦に対しても、果たしてどのような評価が下されることであろうか。過去の轍を踏まないように反省しつつ、たえず宗祖に問いかけつつ、前進しなければならない。